田の様の神饌(しんせん)
神様に供える神饌は、その時に用意できる最良の食材を準備するのが基本。
昔に比べ今はずいぶん豪華になってきたそうです。
輪島塗の膳の上にご馳走を並べ、長さ36センチの両削りの太い箸を置きます。
片方は神様用に、もう片方は自分達用に取り分け(直会)をします。
料理の内容については基本形はありますが、細かくは自由だそうです。
「食材は語呂合わせで選ぶことが多いですね。ご飯に関しては通常はお迎えの時は赤飯、帰りは白飯です。ただし、なぜか私のところは、昔からぼた餅でした。
魚料理は『根が張るメバル』や『おめでたい鯛』『粘ちっこく働けという意味で納豆汁』や『田んぼが蒸せるとダメだから蒸し物は避ける』という様な家もあったりしますよ。
基本家単位の儀礼なので千差万別なんです。違うのがあたりまえ。それがあえのことなんです。」
と川口さんからお聞きしました。
川口家の神饌
他家の神饌
川口家ではもみの俵を3つ、依代の2股大根が2つ。
2人の神様のための2対の御膳にのったご馳走を用意します。
日本の食文化の根底を垣間見る日本人の心の原風景様な農耕儀礼。
食べ物に感謝をするという当たり前のことを見直す取材でした。
次回遊行旅通信は、能登で出会った様々な食と人をご紹介していきます。
お楽しみに!
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